隆治…。


隆治はあたしに会いたくないの?


あたしのこと、もう嫌いになっちゃった?


隆治の顔が見たい。


あの綺麗に整った、大人びた顔をまた見たいのに…。


隆治は携帯の操作が、あまり出来ない人だったから。


自分で撮った画像をメールで送信するなんてワザは、とてもじゃないけど使えなくて。


だからあたしは、隆治の写真を一枚も持っていない。


あんなに一緒に居たんだから、何か適当な理由を付けて、隆治の写真を撮っておけば良かった。


それがあったら、何度もそれを見て、気を紛らわすことが出来たのに。


隆治、会いたいよ…。


会おうと思えば、会える距離にいるのに…。


やっと。


やっと会うことが出来るのに…。


「あ…」


そうだ…。


隆治の住む町へ行ってみればいいんだ。


住所は知らないけど、駅の名前は聞いてるもの。


そう思うと居てもたってもいられなくて。


マンションを飛び出し、近くの駅へと向かった。