『すず…』


「ん…?」


『俺、もうダメかも…』


「ちょ、ちょっと隆治。

何言ってるの?

何がダメなの?

隆治、お願い!

何があったか教えてよ!」


思わず声を荒げた。


その声が、シンとした寒い部屋に響き渡る。


しばらく続いた沈黙の後。


隆治はぽつりと呟いた。


『もう、限界だ…』


「え…?」


『ごめん、すず…』


ごめん?


ごめんって何なの?


「隆治、やめて。

何言ってるの?

ごめんって、どういう意味…?」


電話を持つ手も発した声も、ブルブルと震える。


「隆治。なんとか言ってよ…」


どうしよう。


泣きそうだよ。


『ごめん…。もう切る…』


「やだ!隆治、切らないで。

こんな状態で切られたら、あたし不安でどうしていいかわからない」


『すず…』


「隆治、お願いだから…。切らないで…」


思わずグズグズと泣くと。


隆治は震えるようなため息をついて。



『ほんとにごめん…』



それだけ言って。


ブチッと電話は切れてしまった。