そもそも事の発端は、両親の離婚だった。


寝耳に水、晴天の霹靂、虚をつかれるとは、まさにこのこと。


事もあろうに、父さんが会社の部下と浮気をしたんだ。


相手は24歳でわりと美人だって言うんだから、そりゃもうビックリだった。


あんな腹の出た中年おやじのどこがいいんだろう?


世の中、不思議なことが多過ぎる。


離婚するにあたって一人娘のあたしは、どっちに付く?ってリビングで両親に迫られた。


父さんと一緒にいれば、このまま東京のマンションに残っていられるけど。


浮気者の父さんと一緒に暮らす気にはどうしてもなれなくて、あたしは母さんと暮らすと言った。


だけどまさか母さんが実家に帰るだなんて、あの時はこれっぽっちも思っていなかったんだ。