誰かと思えば、電話の主は隆治だった。


「もしもし…?」


『すず?

あけましておめでとう』


「お、おめでと。

どうしたの?朝早いね」


『こっち、もうすぐ日の出なんだ』


「えぇっ?もう日の出なの?こっちはまだちょっと暗いよ」


『やっぱそうか。

それだけ遠いってことなんだな…。

今俺な、ちょっと高台まで来てるんだ。

さすがに水平線も地平線も見えねーけど、まぁまぁ良い眺めだよ』


「えー、そうなんだ」


一緒には見られないけど、こうして電話で話せたら、なんか嬉しいよね。


「あたしもね、去年隆治と一緒に来た海岸に来てるの」


『えっ、マジ?

お前ひとりでそんなところ…。

危ないだろう?』


ちょっと怒った口調の隆治。


「だって…。

少しでも隆治を感じたかったんだもん」


隣に隆治はいないけど…さ。