長いようで短かった夏休みが終わり、二学期が始まった。


いつもの通学路を、自転車を漕いで行く。


既に看板のない八神酒店の前を通り過ぎ、フェリー乗り場へと到着した。


フェリーに乗り込み、客室に一人で座る。


ふと、隣のシートが空席なのを寂しく思う。


隆治…。


隆治と一緒に通学する時間が、どれだけキラキラしたかけがえのない時間だったか、痛いほど思わされるよ…。


でも、もうそんな悲しみに浸っていたってしょうがない。


しっかり勉強して、絶対大学に合格しなきゃ。


そう、心に誓うあたしだった。