「マジ?じゃあ俺、立候補してもいい?」


五十嵐の言葉に、あたしは顔がひくひくと痙攣していた。


ハルをはじめ、あたしと一緒にお昼を食べている女子はみんな呆気に取られている。


「あの、五十嵐君」


「もう名前覚えてくれたんだ。嬉しいな~」


犬がしっぽを振るように喜ぶ五十嵐。


「あたし、今日転校して来たばかりなの。

同じクラスの子のことも、先生のことも、この学校のことも、まだなーんにも知らないの。

それをいきなり彼氏に立候補って言われて、ハイお願いしますって言うと思う?」


ギロと鋭い視線を向ければ、五十嵐は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。


え?そんなに驚くようなこと?


あ、もしかして……。


慣れてないのかも?


こんなふうに、女子に反論されることに。