暑い陽射しの中、ひたすら自転車を漕ぐ。


隆治、隆治、隆治…っ。


どうしよう。


あたし、隆治が心配だよ。


大嫌いって言ってたお母さんと、会ったこともない男性。


それに加えて、2歳の妹がいるなんて…。


隆治は、その家で受け入れてもらえるの…?


隆治は、東京で自分の楽しみが探せるの…?


八神酒店の前に到着すると、店舗の扉にはカーテンがかかっていた。


隆治、もう出発したんだ!


それでも、あたしは自転車を必死に走らせた。


潮風で髪がボサボサになり、蒸し暑さの中で汗も噴き出すけれど、それでも足を止めることなど出来なかった。


そして、ついにフェリー乗り場が見えてきた。


そこへ停まっている一台のタクシー。


そこから、スタイルの良い女性が降りて来て、その後ろから。




隆治の姿が見えた。