「すず…。
そろそろ帰らないと。
キヨさんが心配するよ」
隆治がそう言って、優しく頭を撫でてくれる。
あたしは思わず、ぎゅっと隆治のTシャツにしがみついた。
すかさず、隆治も抱きしめてくれる。
だんだん日が傾いていて、薄暗くなり始めている事に気づいてはいるけど、あたし達はまだ布団の上に寝転がっていた。
これでもうしばらく会えないと思うと、その場からなかなか動くことが出来なかった。
「わかってる。
わかってるけど…」
「…うん。
俺だって、離したくない…。
このまま朝までこうしていられたらいいのにって思う…」
ふぅと、隆治のため息があたしの頭上にかかる。
「でも、きっとさ。
朝までこうしてたって、いずれ離れる時が来るし。
今離れても、明日の朝でも、きっと寂しさは変わらないんだろうね」
あたしがそう言うと、隆治はそうだなとフッと笑った。