都会っ子なんだと思いきや、真面目に果樹園の手伝いもする。


そんなところも魅力のひとつだった。


すずといると、時間を忘れた。


俺がどんなに毒を吐いても、すずは負けずに言い返して来る。


そのやりとりが楽しかった。


それに、すずは友達思いで優しい。


転校して来たばかりとは思えないくらい、クラスの女子みんなから頼りにされて、慕われていた。


相談にも沢山乗ってるっぽかった。


もちろん、俺に対しても誠実だった。


触れて欲しくない領域に、土足で踏み込んだりする無神経なヤツとは違って、すずはちょうど良い距離を保ってくれていた。


そんなさりげない気遣いも、嬉しかった。


母親が現れた時も、すずは俺を必死に励ましてくれて…。


あの時、すずが一緒にいてくれなかったら、俺はどうなっていたか、ちょっと正直自信がない。