休憩時間、あたしとハルは教室の横にあるベランダにふたりで立っていた。


「え?女子と話さない?」


ハルの意外な言葉に、あたしは頭の中が軽くパニックになっていた。


「あの男が?」


「うん。

八神君って物静かでね。

もちろん男子とは話すけど、私達女子のことは完全に無視なの」


「うそ」


「ホントだって。

カッコイイしね、先輩後輩同級生問わず、密かに彼に憧れてる女子は大勢はいるんだけど、全く。

もう全く!相手にされないの」


「へぇ……」


それは意外だな。


だって、あたしにはあんな悪態ついて来たし。


「だから、植村さんが八神君に話しかけられてるの見て、ビックリしたのよ。

でも、島から来てるなら納得かなー」


「え?どうして?」


「彼が唯一話す女子がこの高校に一人いるんだけど、その子も同じ島の子だから」


「ふぅん……」


唯一話す子、ねぇ……。