「隆治…」


おじいちゃんがビックリした顔をしている。


「八神酒店を終わらせるなんてダメだ。

じいちゃんの跡は俺が継ぐ!」


えっ、隆治。


急にどうしちゃったの…?


「隆治、ワシに気を遣うことはないんで。

お前はお前の好きにしたらええんじゃ」


そう言うおじいちゃんに、隆治は首を横に振った。


「俺、別に勉強が好きなワケじゃないから、無理に大学なんて行かなくていい。

俺は、この島が好きなんだ。

ずっと、ここに住みたいって思ってる。

俺、酒屋の仕事が好きだし、じいちゃんさえイヤじゃなかったら、俺に酒屋の仕事を教えて」


隆治は真剣な目をしていた。


冗談で言ってるんじゃないんだ。


「ダメかな…、じいちゃん…」


チラリおじいちゃんを見ると、おじいちゃんは目に涙を溜めていた。