「ねぇ、隆治」


「ん?」


「隆治、東京に行ったりしないよね…?」


「え、何?突然」


コテンと首を傾げて、隆治が目をパチパチさせる。


「いや、あの…。この前、お母さんが来たから…」


「あー…」


隆治が身体を仰け反らす。


あたしはそのことが心配で、あの日以来ずっと怖かった。


もしかしたら、隆治が東京へ行ってしまうんじゃないかって…。


「前にも言ったろ?

俺はもう二度と名字が変わるのはイヤだし、知らない男と一緒に暮らす気もないって」


「隆治…」


「俺の居場所はあの島だ。

どこにも行かないよ」


隆治が優しく笑ってくれるから、あたしも思わずつられて笑ってしまった。


良かった…。


隆治がそう言ってくれるなら、これからもずっと一緒にいられるよね…?