「変なカズ兄…」


ボソッと呟いて、あたしの隣に座る隆治。


木下さん、あたしと隆治を二人きりにするために、わざとあんな嘘をついたんだ。


周りが全部海に囲まれてたんじゃ、どこにも行けないもんね。


隆治と二人きりになれるのは嬉しいけど、夕方までってちょっと長過ぎじゃない?


何もないところなのに、一体何すればいいわけ?


「腹減ったなー。メシ食う?」


「ん?そうだね。もうそろそろお昼だよね」


隆治がガサゴソと木下さんのリュックの中を探る。


「おにぎりが入ってる。惣菜もあるし。

おにぎり、何味がいい?

梅と昆布とツナマヨと、他色々あるけど」


「あ、あたし梅がいい」


「ん」


隆治が手渡してくれたので、あたしはそれを受け取った。