先生が何やら話していたけど、正直耳には何も入って来なかった。


後ろから見た感じ、みんな真面目そうだし、気の合う友達が出来るのか心配だ。


そしてその不安は、見事的中してしまうのだった。


ホームルーム終了の合図のチャイムが鳴って先生が教室を出て行っても、誰もあたしに話しかけて来る気配がない。


こっちを見てひそひそと何か言ってはいるけど、誰も近づいて来ようとしない。


やっぱ警戒されてるのかな……。


ふぅとため息をついたその時、前に座っている男子が突然くるりと振り返った。


バチッと視線が絡み合った途端、ドクンと心臓が波打った。


あたしの頬が、次第に熱を帯びていくのがわかる。


だってこの人、ものすごい美形なんだもの。


斜めに流した黒い前髪、鼻筋がスッと通っていて、柔らかそうな綺麗な色の唇。


黒い瞳はやけに澄んでいて、白目はくっきり綺麗で……。


って、あれ?


あたし、この顔をどっかで見たような気がする……。


どこで見たんだっけ?


思い出せなくて「うーん」と考え込んでいたら、前の席のその人がニヤリと笑った。