母親のその勝手な言い分に、じいちゃんはもう完全に堪忍袋の緒が切れて、親子の縁を切るって言い出したんだ。


もう仕送りもしないし、一切援助しないって。


売り言葉に、買い言葉だったんだと思う。


決して、じいちゃんの本心じゃなかったはずだ。


こんな時、ばあちゃんがいてくれたら、もう少し冷静に話し合えたかもしれないけど。


でも、じいちゃんは一人親だ。


冷静に考えることも出来ずに、ついそう言ってしまったんだ。


母親が反省する様子もなく、当然と言わんばかりの態度だったから。


じいちゃんに勘当を言い渡された母親は、わかったと言ってその男と去り、それ以来連絡が途絶えてしまった。


その後、母親は大学を辞めて、相手の男が大学を卒業したと同時に入籍。


そして数ヵ月後、二人に赤ちゃんが生まれた。


その赤ちゃんが、つまり俺ってわけ。