母親にとって幸いだったのは、相手が大学4年生だったことだ。


その人は既に就職先も決まっていたし、子供が生まれる頃にはもう社会人だ。


だから、二人でやっていけると母親はそう言った。


確かにそうなんだけど。


じいちゃんはどうしても腑に落ちない。


だって、人生まだまだこれからじゃないか。


沢山勉強をして、色々な経験を積んで、いずれは社会に出て働いて欲しかったんだ。


こんな若いうちから、子育ての苦労なんてさせたくはない。


だから、親心で心配して反対したのに。


母親は「自分の人生だ。どうしようが私の勝手だ」って。


じいちゃんにそう言い放ったらしい…。