「すず…」


あたしの名前を呼ぶ隆治に、ドキッと心臓が跳ね上がる。


「誰にも…言わない…?」


「え…?」


隆治の瞳が少しゆらゆらしていて、あたしは身動きが取れなくなってしまう。


「俺が今から話すこと…、誰にも言わないって約束出来る…?」


「隆治…」


隆治はいつになく真剣な顔だ。


こんな隆治を見るのは、初めてかもしれない…。


あたしはゴクッと息を飲んだ。


「あたし…、隆治が誰にも言わないで欲しいなら、誰にも言わないよ…。

隆治を悲しませるようなこと、あたしはしたくないから…」


あたしがそう告げると、隆治は少し顔の表情を緩めた。


「すず…。悪いんだけどさ、横に来て」


よ、横?


それってつまり…。


隣に来いってことよね?


うそ…。


でも隆治の表情からして、冗談ではなさそうだ。


あたしはドキドキしながら立ち上がり、隆治の隣に体育座りをした。


人ひとり分くらいのスペースを空けて…。


あたしが座ると、隆治ははぁーと長い息を吐いて、静かに話し始めた。