「明日でやっと試験終わるねー。どれからやる?現代文からやる?」


隆治にそう言ってみたものの、隆治はたたんだ布団の上にゴロンと頭をもたれたままだ。


「どうしたの?疲れちゃった?」


心配になって聞いてみると、隆治は首を横に振った。


どうしたんだろう?


食事の時も思ったけど、なんだかいつもと様子が違う。


毒吐かないし、元気がない気がする。


あ、もしかして…。


さっき、フェリー乗り場で会った女性のせいなんじゃ…?


「ねぇ、隆治」


「ん?」


「さっきフェリー乗り場にいた女の人って、誰なの…?」


あたしの問いに、隆治の動きがピタッと止まる。


隆治は天井をじっと見つめたまま、大きく息を吐いた。