母さんがカバンから取り出したのは、女性の顔写真が印刷された箱で。


「何それ?」


「白髪染めよ」


「し、白髪染め?あたし白髪じゃないわよ?」


「アンタみたいにブリーチしてる子は、これくらいでやらなきゃ黒に染まらないのよ!」


う、嘘でしょ?


「やだやだ! 絶対やだ!

あたし、絶対黒になんかしないからーーー!」


思わず壁へとズリズリと後退する。


黒なんてカッコ悪くてやだ。


死んでもイヤ!


「お母さん」


キラッと目を光らせる母さん。


「ほい、来た」


おばあちゃんがうんと頷く。


な、なになに?


何なの?この合図は…。


ヒヤリと冷たい汗が背中に流れたその直後……。