初めて触れ合う唇の感触。


これってキス、だよね…?


頭の片隅で、そう思ったけれど。


直後、すぐに我に返った。


「や、やだ…っ」


ドンッと田村の胸を突き返す。


「植村…?」


田村が驚いた顔であたしを見つめている。


「ごめん…、田村…。

あたしの中では、もうあの夏で終わったの。

だから、今さら元に戻れないよ」


あたしの言葉に、田村が悲しそうな目をする。


「ホントに、ごめんね…。

ごめん…。

バイバイ…」


田村にそう告げると、あたしは走って公園を飛び出した。


ドキドキが止まらないけれど、それでもあたしはひたすら走って、マンションへと駆け込んだ。