二人でよく話していたベンチに腰掛ける。


小さな児童公園は、寒いし暗いし、もう子供達の姿はなかった。


「あの、さ。さっきの話だけど…」


田村があたしの顔を覗き込む。


「マジで、考えてくれないか?」


今日の田村は、いつになく真剣だ。


本気で言っているのが伝わってくる。


そう言われて、嬉しくないわけではないけれど…。


「でも…、遠距離はちょっと…」


ボソッと呟けば、田村は少し顔をしかめた。


「じゃあ聞くけどさ」


「え?」


「遠距離じゃなかったらどうなんだよ?

もし転校してなかったら、あのまま俺と付き合ってくれてた?」


意外な質問に、思わず目を見開く。


「そりゃそうでしょ?そのまま付き合ってたわよ」


「だったら、障害なのは距離だけじゃん。

お互い好きなら、俺は越えられると思う…」