しばらく無言のまま座っていたあたし達だったけど、お互いもう歌う気にもなれなくて、出ようかと言ってカラオケを後にした。


店を出て駅へと向かい、二人で電車に乗り込む。


夕方のせいか、仕事帰りの人達で電車は混雑していた。


電車に乗って10分以上経っても、あたしと田村は特に会話をすることもなく、ドア付近に立っていた。


「あたし、次の駅だから…」


上目遣いでそう言えば。


「俺も降りる。もう暗いし、家まで送るよ」


田村はそう言って、少し口角を上げた。


電車を降り改札を抜けると、マンションまでの道を田村と横並びに歩いた。


春から付き合い始めて、夏までのたった4ヶ月弱の付き合いではあったけど。


田村とは、この道をよく一緒に歩いたものだ。


コンビニで買ったお菓子やジュースを片手に、大抵は近所の公園で少し話して田村は帰ってたっけ。


しばらく歩いていると、そのよく話していた公園が見えて来た。


「なぁ」


「ん?」


「寄らないか?久しぶりだし」


どうしようかなと少し迷ったけれど、あたしはコクンと頷いた。