「ふふっ。見たわよー」


「バレてないとでも思ったー?」


マキと友子がニヤニヤしながら入って来る。


うっ。見られてたんだ…。


ドアガラスから丸見えだし、当然か…。


あたしの向かいの席に並んで座る二人。


ジロジロ見られて、なんだか恥ずかしい。


「やっぱこうして見てると、二人ってすごくお似合いー。

すずー。田村とやり直せばいいのにー」


膝に頬杖をついた友子がにっこり笑う。


「嫌いになって別れたんじゃないんだし、私もそう思うなー。

田村ってば、誰に告白されても断ってるんだよー。

すずが忘れられないんだろうなって思ってたー」


二人の言葉に、田村は顔を真っ赤にしている。


田村はその完璧な外見とは裏腹に、とてもシャイだったりする。


学校内や学校周辺じゃ絶対手を繋がないし、実はあたし達はキスすらしたことがないのだ。


極めて純情な、清らかなお付き合いだった。