確かに、別れはあたしの一方的な要求だった。


田村は結構ギリギリまでイヤだと言っていて、最後はしぶしぶ承知したようなところがあった。


母さんもそうだったけど、父さんがどんなに離婚に反対しても、聞く耳すら持たなかった。


一度決めると曲げないところは、母さん似なのかもしれない…。


「植村…、頼むよ…。

もう一回やり直そう。

こうして冬休みとかさ、春休みとか、大きな休みに会えるだけでもいいから。

お前、こっちの大学に進学するだろ?

それまで俺、待ってるし…」


そ、そんなこと言われても、どうしたらいいか…。


戸惑って俯いていると、ガチャンと扉が開く音がした。


その音で、田村はパッとあたしの肩から手を離した。