「別れようって言ったのは植村だろ?

俺はイヤだって言ったのに。

遠距離が無理だとか、なんで勝手に決めるんだよっ」


「だ、だって、無理じゃん?

会いたくても会えないわけだし。

気持ちだって、離れやすくなる。

お互い何してるか見えないし。

疑って、不安になって、疲れそうなんだもん」


あたしの言葉に、田村が長く強い息を吐く。


「そりゃ不安にはなるけど。

別れるより全然いいよ。

俺、後悔してたんだ。

どうして別れ話に応じたんだろう。

どうしてちゃんと説得しなかったんだろうって…。

冬休み、杉田達がお前に会うっていうのを聞いて、もういてもたってもいられなくなって。

それで今日ここに来たんだ」


「田村…」