人一人分の力なんてそんなに簡単な物じゃない、ましてやマチェリラの記憶では永の方が強い力を持ち貴未は補助するような立場にあったとしていたからだ。

「俺の行った国に凄い人がいてさ!その人に力を分けてもらった。」

貴未の表情が一気に明るいものに変わった。

活き活きとした目で嬉しそうに語る、いい人に出会えたのだとマチェリラも思わずつられて笑いそうだった。

「凄いのね。」

「ああ、凄いよ!あの人は強くて優しい…偉大な人だ。憧れる。」

貴未の言葉に日向は驚き短い瞬きを繰り返した。

短い期間しかいなかったが普段の様子から貴未がそんな風に思っていたなんて全く感じられなかったのだ。

位ある人にも気さくに話す、どちらかといえば貴未の堂々たる姿勢の凄さに圧倒されていたのだが、ここにきて貴未の気持ちが明らかになった。

おそらく貴未が話している人物はカルサのことなのだろうと予想がつく。

カルサのことを話していると自然と貴未の手に力が入った。

よっぽど尊敬しているのだと傍から見ればすぐに分かる位に興奮が感じ取れる。