「貴未と永がカリオに帰ると飛び立った日の事よ。」

また会おうと約束を交わし、二人は手を取り合ってマチェリラの前で飛び立った。

一瞬にして消えた二人の残像を目に焼き付けてその場を去ろうとした時、背丈程の稲妻がさっきまで彼らが立っていた場所に走ったのだ。

その光は鮮烈で空間を引き裂きそうなくらいの威力、マチェリラは不吉な思いを感じずに入られなかった。

「何かあったのかもしれない。私は心配で不安で…暫くそこから動くことができなかった。」

古い記憶を呼び起こして彼女は目を閉じる、身を縮めた姿は当時の気持ちを表しているのた。

自信を抱きしめるように手は震えるほど強く腕にくい込んでいる。

「自分の部屋に戻ってもそのことが頭から離れなかった。気にしすぎだと、二人は大丈夫だって何度も自分に言い聞かせて…それでも足りない時はずっと祈ってたわ。」

空に祈り、月に祈り、ひたすら貴未と永の無事を願っていた。

「いつからだったか、夢を見るようになったの。朝起きると不思議な感覚になる夢。暫くして…それは永が呼んでいるのだということに気が付いた。」

「永が…?!」

貴未の声にマチェリラは頷いた。