やがてマチェリラは一歩下がると貴未たちに背を向けた。
夜風がやさしく時を運ぶ。
教会の屋上から辺りを見下ろし、マチェリラはゆっくりと空を仰いだ。
今はもう、いくら圭の姿を借りているとしても、貴未にはマチェリラにしか見えなかった。
「貴未、この屋上に覚えはない?あの遺跡の下に教会を作ったの。」
促された貴未は辺りを見回してみた。
よく見ると屋上だけ造りが違うことに気付く。
前にいた教会を取り壊して新しくここに建てたのだと彼女は続けた。
「カリオへの入り口は遺跡。遺跡特有の空気が入り口を開きやすくしているんだったわよね?」
忘れもしない、それは貴未が永と共に昔から頭にたたき込まれた言葉だ。
苦々しく笑うと貴未は表情を曇らせる。
「ここは遺跡、そしてカリオへの軌跡もある。私はずっと扉を用意して待っていたの。」
「マチェリラ。」
言葉の途中から、マチェリラは意識を遠くへ向けていた。
何を思い出しているのだろう、少しの沈黙を作りあげた後、彼女は再び口を開いた。
夜風がやさしく時を運ぶ。
教会の屋上から辺りを見下ろし、マチェリラはゆっくりと空を仰いだ。
今はもう、いくら圭の姿を借りているとしても、貴未にはマチェリラにしか見えなかった。
「貴未、この屋上に覚えはない?あの遺跡の下に教会を作ったの。」
促された貴未は辺りを見回してみた。
よく見ると屋上だけ造りが違うことに気付く。
前にいた教会を取り壊して新しくここに建てたのだと彼女は続けた。
「カリオへの入り口は遺跡。遺跡特有の空気が入り口を開きやすくしているんだったわよね?」
忘れもしない、それは貴未が永と共に昔から頭にたたき込まれた言葉だ。
苦々しく笑うと貴未は表情を曇らせる。
「ここは遺跡、そしてカリオへの軌跡もある。私はずっと扉を用意して待っていたの。」
「マチェリラ。」
言葉の途中から、マチェリラは意識を遠くへ向けていた。
何を思い出しているのだろう、少しの沈黙を作りあげた後、彼女は再び口を開いた。