覚悟はしていた、それを受け入れられるだけの準備はしているつもりだった。

しかし目の前で笑う彼女を見て悲しみとも言えない感情が生まれてしまったのだ。

ただただそれは心揺さ振り全身を震わせる。

耐えようとすればする程それは大きくなって襲ってきた。

「時間の流れが違うんだもの。仕方のないことだわ。」

彼女は貴未の手を取ろうと近付いた。

そして彼の手に触れ、顔に触れ、懐かしい人物の感触を確かめる。

時を超えた友人との再会だった。

「大きくなったね。」

彼女の声は震えている。

どちらからだろう、お互いの名を呼び合い二人は抱きあった。

ただ存在を確かめ合いたい、嬉しさや安堵感で心の中はぐるぐると回っていた。

すぐには消化出来ずにどうしようもない気持ちを落ち着かせる為、二人は抱きあったのかもしれない。

暫くして少し落ち着くと二人は距離を取ってもう一度見つめあった。

もう貴未には圭がマチェリラにしか見えない。