確かにカルサに扮していたサルスは一人で三人分の働きをしていた、それはカルサも深い感謝の気持ちを持っている。

期間も短い訳ではないし、その間のサルスの様子も聞いていた。

抱えきれない仕事の多さにいつ倒れてもおかしくないと周りは心配だったのだ。

激務から解放されたとはいえ、ナータック不在の穴埋めは変わらず行っていることから今でもほぼ二人分の働きを続けていた。

「確かにサルスはよく働いてくれていた。本来なら休息を与え労るべきだろう。」

納得しつつも妙な言い回しに今度はハワードが目を細めた。

「だが、それはできない。近い内に俺はこの国を留守にする。代わりがいなければ国が混乱する。」

当然のように告げられた、また留守にするという言葉に答えを探してた視線がさまよう。

カルサを問いただそうにも今までの経緯から浅くはない理由だということが分かったからだった。

すぐに返してこないハワードの反応にカルサは再び背を向けて窓の外へと視線を変える。

「しかし…それでは殿下があまりにも。」

カルサの背中に想像していたよりも優しい声がかかる。