「お願いします。」

貴未の返事を受け取ると圭は微笑み背中を向け歩き始めた。

貴未がそれに続き日向も同じ様に続いていく。

彼の肩には依然として動物の姿を現した祷がいた。

キースを先頭に一同は目的地を目指す、とはいえ部屋から出ることもなく部屋の象徴である大きな十字架のふもとで足を止めたのだ。

圭は床に手を置いて不規則に動かし始めた。

後ろからでは何をしているのか分からず、貴未たちは不思議そうにその様子を見つめる。

「隠し部屋です。仕掛けを外さないと道は開きません。」

貴未たちの疑問を察してキースは説明をした。

納得したのか何度も頷く二人を背後に感じながら仕掛けを外し、圭は立ち上がる。

そして軽く押しただけで目の前の壁が開いた。

「上に続く道があります。行きましょう、私に付いてきて下さい。」

貴未が頷いたのを確認すると圭はキースに番を頼み二人を連れて階段を上っていった。

薄暗い道が三人を迎え入れる。

「日向、足元気を付けろよ?」

「大丈夫。」

二人のやりとりに微笑んだのは圭だった。