「でもそれじゃあ永たちが盾に取られる危険があるでしょう?」

「そんなものないわ。考えられない。」

「今さらだな。」

圭の不安にマチェリラが真っ先に否定をし、カルサと合わせて可能性を切り捨てる。

「精神的に追い詰める事が目的でしたら考えられなくもありませんが…ヴィアルアイの狙いはあくまで皇子。永を出して怯むことはないと考えるでしょう。それならばライムかリュナを出した方が早い。」

「2人は戦える。考えだしたらキリがありませんよ。」

「…そうね。」

千羅と瑛琳の言葉に圭も頷きを深めた。

「覚悟は決まったか。」

振り向いて尋ねるカルサにそれぞれが言葉なく頷きで答える。

緊張の連続ですっかり表情が強張った日向も口を一文字にして食い縛った。

その姿を目に焼き付けてカルサは思う、向き合えるのはこれが最後かもしれないと。

「この胸を貫く時はヴィアルアイを捕らえた、その時だ。」

「させません!」

被せるように叫んだのは千羅だった。

彼に対して苦笑いを浮かべると、先程までとは違いふわりと柔らかな表情でカルサは話始める。

「もちろん希望は捨てない。皆ここまで来てくれてありがとう、どうか無茶はせず一人でも多く生き延びてほしい。」

やがてカルサの視線は日向に定まり改めて言葉を紡いだ。

「特に日向、お前は絶対に生き残らないといけない。腕を失っても足を失っても、その命を絶えさせるな。」

「は、はい!」

何も考えず反射だけで返事をした日向は何度も頷き続ける。

「ラファル、日向についてくれ。」

その言葉に従いラファルはカルサの元から離れ日向の傍についた。