「すべてを終わらせる為でもある。太古からの因縁を絶ち切る為だ。」

確固たる決意を示してカルサはアレドの目を捕らえる。

しかし彼女の反応は薄く、むしろ退屈そうに目を細めた。

「ぬしらの都合ではないか。」

そう言ってアレドは城に背を向けて歩き始める。

カルサ達の横を通り過ぎる最中、アレドはため息に似た息を零した。

「あまり大げさにせぬように…ここはわらわの国ぞ。」

流し目ながら突きつけられた鋭い視線にカルサは言葉を飲み込む、それは一同も同じ反応だった。

アレドの後ろ姿が完全に見えなくなるまで誰も一言も発しようとはせずただ圧倒されるばかりだ。

彼女の言葉は短い中にも確かな威圧と誇りがあった。

「…行こう。」

カルサの声を皮切りにようやくそれぞれが固まった身体を動かし始める。

眼下に広がる深い森、その中に突然切り開かれた土地に建つ城は孤独な場所の様にも思えた。

おそらくあそこに全ての目的が揃っている。

リュナもヴィアルアイも、そして玲蘭華でさえもあの場所にいるのだ。

「約束が出来るかどうか分からないが…これまでの案内に感謝します。アレド殿。」

そう呟き目をきつく閉じた。

目的地が分かったのだから辿り着くまでの方法はいくつかあるだろう。

その中でどれを選べば自分の思い通りに進めるのか考えてみるが、アレドとの出会いで思いは決まった。

「あそこに全てがある。」

つまりはあの場所に確実に辿り着かなければ何もならないということだ。

「目は慣れた。一気に突っ込むぞ。」

「ふうん。小細工なしに行くという事ね?なら私の出番かしら。」

竜族ならではの闘志が前面に出てマチェリラはこれまでにない位に活き活きとした表情をしている。

声も踊り出すように跳ね、その目は歓喜に満ちていた。