造りはどちらかと言えばシードゥルサの方に似ているだろうか。

城壁には見張り台が等間隔にあり、高さを持ってその強さと権力を周囲に見せつけているようだ。

低い建物が横に広く続いているオフカルスとは印象が違う。

まだ距離はあるが、森の中からでも道標に出来るくらいの近さには来ている様だった。

「…何だろ?城から光が漏れてる。」

ここに来て声を出したのは日向。

彼の言葉の通り、微かではあるが城の中枢から光が見えているようだ。

「あれよ…わらわが居を移したのも光が痛うてかなわんからだ。」

「光…。」

「心当たりがあろう?そなたには。」

含む言葉に目を細めて考えた。

「…玲蘭華?」

可能性の一つとしてあげた名前に一同は強い反応を示したが、アレドだけはつまらなさそうに視線を外す。

「名は知らぬ。だがあの男が持ってきたものだ。」

あの男とはおそらくヴィアルアイだろうと想像がついた。

口振りからして関係性は見えてきた気がする。

「レテイシアはヴィアルアイに乗っ取られたのか?」

「先の長姫と同じ名を持つ者が名も知らぬ男らを連れて突然現れた。当然の様に住みついて今では主そのものよ。」

どのような感情なのかは読めなかったが、アレドにとっては歓迎されたことではないと態度が告げていた。

しかしそれ以上に気になったことがカルサの思考を止める。

「男ら、と言ったか?」

「他にも人間がおった、そう覚えておる。」

「女の子は!?」

カルサの問いにアレドが答えるなり声を張り上げたのは貴未だった。

アレドはその鋭い目を貴未に向けたが口を開く様子はない。