「…とりあえず目をこの暗闇に慣らさない限り動き難いわ。やはりここはマチェリラの感覚に任せた方がいいと思うんだけど。」

圭の言葉に揃えるようにマチェリラ達の戦闘は終わった。

「どうするって?」

乱れた髪を手で後ろに払い除けてマチェリラは問いかける。

その目は鋭く戦闘種族である竜の本質を取り戻したかのようだ。

「しばらくはマチェリラの感覚に頼る方法を取りたいんだが。」

「いいわ。…さっき上空を飛んだとき大気の流れを感じたのよ。」

そうしてマチェリラは人差し指を立て、静かにある方向を指してまた口を開いた。

「多分あっちに大きな建物があるわ。」

「建物…?」

全員がマチェリラの指す方を見つめて思いを馳せる。

「何かは分からないから当たりとも言えないけど。」

「いや、十分な情報だ。何しろレテイシアに関しては何も知らない。魔族と魔物の住処という事以外はな。」

また新たに感じる魔物の気配に目を細めてカルサは神経を研ぎ澄ました。

「構えてても仕方ないんじゃないの?交代で担当しながら行こう。それに弱い奴は寄ってこないでしょ。」

「そのようだな。」

貴未の言葉に千羅も頷く。

ここから去っていく気配も感じてそこまで命知らずでは無さそうだと感じたところだった。

「ひとっ飛びで運びましょうか?」

マチェリラが首を傾げてカルサに問う。

「いや、狙い撃ちされても面倒だ。歩いていこう。」

「もうバレてるんじゃないの?」

「だろうな。だとしても、ここがどういう場所なのか知りたい。」

「教えてやろうか?」