神経を研ぎ澄まして探せばいくつもの世界の気配を掠めることが出来るのだ、そこに行きたいのなら意志を持って手を伸ばせばいい。

三つの異なる中心世界、オフカルス、カリオ、そして残る一つは。

「レテイシア。」

口にした途端、身体をバラバラにするような凄まじい風に煽られ繋いだ手が離れそうになった。

絶対にこの手を離してはいけない、そんな感覚に駆られて全員がお互いの手や身体を引き寄せ合い強く握りしめた。

いつまで耐えるのか分からない、でも終わりは近づいている気がする。

出口はもうそこだ。



「う、わわわわわわわ!!!」

急に空間の隙間から放り出される様にして解放された身体は宙を舞って落ちていく。

支えるものは何もない、態勢もうまく取れないままどこか分からない場所に落ちていく。

誰も何の抵抗も出来ず成す術がなかった。

「く…っ」

眉を寄せて目を細めると、マチェリラはその姿を白竜に変えて羽ばたきを繰り返し、全員を背中に乗せようと旋回する。

「きゃあ!」

「うわっ!」

悲鳴を上げながらもしっかりと掴まっているようだ。

背中に感じる衝撃の数だけ回収できたに違いない、しかし下降しながらの回収はどれくらいうまくいったのかが分からなかった。

「皆いる!?」

「何とか掴まってるよ!」

日向は身体を外に投げ出している形だったが千羅がその手をしっかりと握って確保されていた。

「暗くてよく見えない…っマチェリラ、あなた見えるの?」

「ある程度はね、とにかく掴まってて!」