紅は思わず本宮を見た。

企てはあそこではないのか、その思いで目を泳がせ現状を理解しようと頭を回転させる。

「領民たちが…叫んでいるんです!太子たちを利用して帝を倒した後、宮主やその家族も…帝の一族全てを終わらせると!!」

「まさか…。」

ドオオン!

「きゃあ!!」

紅の言葉を遮る様に響いた音に振り返ると、本宮が爆発によって火柱を上げているのが見えた。

続いてまた爆発音が鳴り響く。

「音が…。」

さっきまで聞こえなかった音が次々に本来を取り戻していく様子は一つの報告をされているように感じた。

「おそらく東宮の姫様が殺されたんです…ニノ姫さまも例外ではありません!」

胸の内と同じ事を侍女の口から聞かされ紅は窓から離れるように後ずさった。

「貴女様のお働きは近くにいた私たち全員存じております。きっと民たちも…それでも止められない!身代わりはたてました、太子とお逃げください!」

侍女の叫びで我に返った紅はすぐにその考えを拒んだ。

「身代わりなんて!そんな勝手な真似は許しません、私が残ります。」

「ただの時間稼ぎにすぎません、ご心配は無用にございます。姫様は国外へお逃げください。」

「いいえ!私は…!」

ドオオン!

またも西宮の敷地内で爆発した音が響き状況を緊迫させていく。

紅がそっちに気を取られ油断した隙に侍女は彼女の腕を掴んで走り出した。

制止の声をかけても張り上げても侍女は前を向いたまま速度を上げていく。

「ニノ姫!こっちだ!」

「太子!?」

待ち構えていたように現れた聖に紅は困惑の声を上げた。