知りようのなかった結界石の破壊の理由、それが聞けるのであれば断る理由などある訳がない。

「…ああ。ある。」

「ほな決まりやな。」



界の扉の間。

相変わらず方角も何も分からない景色のなか、カルサたちはテスタが居とする管理空間に向かった。

そして今は先頭を行く紅に連れられて歩いている。

「あの人らは?」

あるタイミングで別れた側を思い出して紅が尋ねた。

いまここにいるのはカルサと貴未、そして紅の三人だ。

「別室で待ってるって。」

「気い利かせてくれたんやな。」

特にありがたみを含まず答える紅にカルサも貴未もひっかかりを感じた。

「まあ分からんか…陰で監視してたやろうけど聖のこともようは知らんやろしな。」

思わず耳を疑う程だ。

これまで彼女と言葉を交わしてきたことは何度だってある、仲間として親しくしていた期間も長かったのに始めてだった。

紅はこんな言い方をする人だったか。

信じられない思いでカルサと貴未は互いに顔を合わせた。

「ここやで。」

少し離れた扉を紅が指し、やがてその前で足を止める。

手をかざすだけで扉が自動的に開き、真っ白で無機質な部屋が姿を現した。

部屋の中心に一つ、何かがあることは遠目にでもよく分かる。

紅が進んだことをきっかけにカルサたちも中へ踏み出した。