何も言わずにサルスと寄り添う形でカルサもそれに倣っているのだと分かった。

「…皇子。…殿下。」

困惑するレプリカの横にエプレットが並び立ったままこの状況を見守る。

何を思い、何を口にしようとしているのだろうか。

彼の行動の意味が分からないレプリカは不安げに窺い行く末を待った。

そしてエプレットが口を開く。

「御二方どうです、私たちも立派な戦力となって役に立つでしょう?見直していただけましたか?」

「エプレットさま!?」

二人を見下ろす形で放った言葉にレプリカはその目と耳を疑った。

「御二人に救われ守っていただいたことは数え切れませんが、我々も守られてばかりではありません。これからは我々の番なのです。」

そう言うと彼は跪き、穏やかに、かつ力を込めてもう一度口を開く。

「これまで本当にありがとうございました。貴方様の力となることを誓い、より一層励み力を合わせてこの国を守って参ります。サルスパペルト・ヴィッジ陛下。」

その呼びかけにサルスはゆっくりと顔を上げた。

目の前には予想に反して優しい笑みを浮かべたエプレットがこの瞬間を待っている。

しっかりと目を合わせ思いをかみしめた、そして次に矛先を隣でまだ頭を下げ続けている人物に向けたのだ。

「そしてどうぞ、この国のことは我々に任せて旅立ちください。カルサトルナス様。」

まさか自分に来るとは思わなかったカルサは反射的に顔をあげてエプレットに対面する。

「凱旋をお待ちしております。」

笑みを浮かべるエプレットの奥でかつてはカルサの直轄部隊として所属していた戦士が笑顔で頷いているのが見えた。

彼らはもう全てを知っているのだ。

言わずともそれが伝わってきて何とも言えないざわめきが胸の中で起こった。