一段一段上るごとに高まる緊張感はこの先に予想もしない出来事が待っているように思える。
貴未の身体に自然と力が入り、いつのまにか拳は震えるほどに強く握りしめられていた。
やがて上りきった先には大きな扉が立ちふさがって彼らを待ち構えている。
男は扉を叩いて訪問を中に知らせるとゆっくり押して貴未たちを中に招き入れた。
「どうぞ中へ。」
貴未は表情を変えず前を向いたまま意を決して足を踏み入れる。
透けるくらいの薄い布をくぐると本当の意味で部屋の中に入った。
部屋の奥には大きな十字架が象徴として飾られており、その麓には先程の少女と少し年を取った、まだ少女の父親と呼ぶには若い男が立っていた。
貴未たちは言葉もなく少しだけ彼らとの距離を縮める。
「キース様、お連れしました。」
ここまで道案内をした男はそう告げて貴未たちの背後で扉を閉めた。
この広い部屋の中にいるのは五人だけ。
「ご苦労だった。旅の方、今一度名乗っていただけますか?」
キースと呼ばれた男は落ち着いた口調で貴未たちに語りかけた。
貴未の身体に自然と力が入り、いつのまにか拳は震えるほどに強く握りしめられていた。
やがて上りきった先には大きな扉が立ちふさがって彼らを待ち構えている。
男は扉を叩いて訪問を中に知らせるとゆっくり押して貴未たちを中に招き入れた。
「どうぞ中へ。」
貴未は表情を変えず前を向いたまま意を決して足を踏み入れる。
透けるくらいの薄い布をくぐると本当の意味で部屋の中に入った。
部屋の奥には大きな十字架が象徴として飾られており、その麓には先程の少女と少し年を取った、まだ少女の父親と呼ぶには若い男が立っていた。
貴未たちは言葉もなく少しだけ彼らとの距離を縮める。
「キース様、お連れしました。」
ここまで道案内をした男はそう告げて貴未たちの背後で扉を閉めた。
この広い部屋の中にいるのは五人だけ。
「ご苦労だった。旅の方、今一度名乗っていただけますか?」
キースと呼ばれた男は落ち着いた口調で貴未たちに語りかけた。