レテイシアで見上げる空には一際眩い輝きを放つ世界・オフカルスが常にある。
たとえ統べる王が居なくなったとしても、その輝きがすべて失われるという訳ではないのだ。
その世界自体が光放つ存在であり、王は輝きを増す効果を与えるに過ぎない。
何故ならオフカルスという世界を作ったものは守麗王ではないからだ。
そのことをあの太古の時代どれだけの人間が考えていたのだろうか、そしてどれだけの人間がその答えを知っていたのだろうか。
少なくとも今では総本山と呼ばれる場所に戻ってきた元神官はそれを知っていた。
守麗王の上に立ち、その姿を現すことなく影響を与える存在のことを。
「圭。」
名前を呼ばれて振り返った圭は声の主を見付けて優しく微笑んだ。
ここでその名を呼ばれることの不思議さを感じつつ、思いをかつての時代に馳せて視線を戻す。
「前にもこうして声をかけられた気がするわ、マチェリラ。」
「それって昔の話でしょ。やっぱりここに居たのね。…聖なる泉、懐かしいわ。」
圭の横に並ぶとマチェリラも彼女と同じ様に目の前に広がる景色を眺めて記憶の糸を辿った。
今は太古と呼ばれる時代に過ごしていた頃、ここで何度かこうして言葉を交わしたような気がする。
隣にいる人物の姿は違えど、抱いている感覚は同じなようだ。
微笑んでマチェリラを見つめる様子にそう感じ取ることができた。
「シャーレスタンだった頃、私が最後に居たのがこの場所だった。戴冠式の最後に使う聖水を汲むためにここに来ていたんだけど…。」
「…そうね。」
それは何度思い出しても苦々しく心と身体を蝕む記憶。
あの戴冠式の日にすべてが終わり、そして狂う未来の始まりが起きたのだ。
たとえ統べる王が居なくなったとしても、その輝きがすべて失われるという訳ではないのだ。
その世界自体が光放つ存在であり、王は輝きを増す効果を与えるに過ぎない。
何故ならオフカルスという世界を作ったものは守麗王ではないからだ。
そのことをあの太古の時代どれだけの人間が考えていたのだろうか、そしてどれだけの人間がその答えを知っていたのだろうか。
少なくとも今では総本山と呼ばれる場所に戻ってきた元神官はそれを知っていた。
守麗王の上に立ち、その姿を現すことなく影響を与える存在のことを。
「圭。」
名前を呼ばれて振り返った圭は声の主を見付けて優しく微笑んだ。
ここでその名を呼ばれることの不思議さを感じつつ、思いをかつての時代に馳せて視線を戻す。
「前にもこうして声をかけられた気がするわ、マチェリラ。」
「それって昔の話でしょ。やっぱりここに居たのね。…聖なる泉、懐かしいわ。」
圭の横に並ぶとマチェリラも彼女と同じ様に目の前に広がる景色を眺めて記憶の糸を辿った。
今は太古と呼ばれる時代に過ごしていた頃、ここで何度かこうして言葉を交わしたような気がする。
隣にいる人物の姿は違えど、抱いている感覚は同じなようだ。
微笑んでマチェリラを見つめる様子にそう感じ取ることができた。
「シャーレスタンだった頃、私が最後に居たのがこの場所だった。戴冠式の最後に使う聖水を汲むためにここに来ていたんだけど…。」
「…そうね。」
それは何度思い出しても苦々しく心と身体を蝕む記憶。
あの戴冠式の日にすべてが終わり、そして狂う未来の始まりが起きたのだ。