「確かに沙更陣の言うように、今まで玲蘭華は私欲の為に世界を操りはしなかった。しかしそれは表面なだけで、水面下では何をしているか分からない。」
「日向の事か。」
沙更陣は再び庭の方へと足を進めていった。考えがまとまっていないのだろう、階段の手前に辿り着いても伏し目がちに黙り込んでその思考を巡らせる。
やはり心当たりはない。記憶を戻した沙更陣にも日向の事は分からなかったのだ。
オフカルスに辿り着いた時、沙更陣はカルサたちを出迎え懐かしい顔であるマチェリラとの対面に涙を浮かべた。圭となったシャーレスタンとの触れ合いにも感動をしたものだ。
その時に日向と対面したがやはりカルサの弟でありオフカルス第二皇子である彼を見ても何も思い出さなかった。
それはまだ幼かった日向が青年になるまで成長したから面影が薄くなっていたとかそういう問題ではない。そもそもの名前からも沙更陣の中にある記憶に少しも引っかからなかった。
きみは誰だと尋ねたくらいだ。
そして日向の方もオフカルスには初めて来たと笑顔で答えたから余計に沙更陣の中で第二皇子という肩書がしっくりとこない。
玲蘭華も特にカルサに関して何か言っていた訳ではないから当然日向の話になることもなかった。
三人でオフカルスに居た頃はそれこそ腹の探り合いの様な形でお互いに当たり障りのない会話が続き、太古の時代の話題になることは殆どない。
記憶が戻った時に深く話し合った以降は全く触れることも無かった。
なので雷神が目覚めたという話を聞いた時は彼がカルサトルナスだと言われただけでそれ以上の介入は無かったのだ。
いま思えば玲蘭華の言葉を信じられなかったのかもしれない。だから余計な話はせずに腹の探り合いの様な形をとっていたのだろう。
沙更陣がそう自覚したのは暫くしてからの事だったが、ジンロはそれがおもむろに態度に出ていた。
カルサトルナスが新たな身体で再び生を受けたと聞いた時に宣言したのだ。
「日向の事か。」
沙更陣は再び庭の方へと足を進めていった。考えがまとまっていないのだろう、階段の手前に辿り着いても伏し目がちに黙り込んでその思考を巡らせる。
やはり心当たりはない。記憶を戻した沙更陣にも日向の事は分からなかったのだ。
オフカルスに辿り着いた時、沙更陣はカルサたちを出迎え懐かしい顔であるマチェリラとの対面に涙を浮かべた。圭となったシャーレスタンとの触れ合いにも感動をしたものだ。
その時に日向と対面したがやはりカルサの弟でありオフカルス第二皇子である彼を見ても何も思い出さなかった。
それはまだ幼かった日向が青年になるまで成長したから面影が薄くなっていたとかそういう問題ではない。そもそもの名前からも沙更陣の中にある記憶に少しも引っかからなかった。
きみは誰だと尋ねたくらいだ。
そして日向の方もオフカルスには初めて来たと笑顔で答えたから余計に沙更陣の中で第二皇子という肩書がしっくりとこない。
玲蘭華も特にカルサに関して何か言っていた訳ではないから当然日向の話になることもなかった。
三人でオフカルスに居た頃はそれこそ腹の探り合いの様な形でお互いに当たり障りのない会話が続き、太古の時代の話題になることは殆どない。
記憶が戻った時に深く話し合った以降は全く触れることも無かった。
なので雷神が目覚めたという話を聞いた時は彼がカルサトルナスだと言われただけでそれ以上の介入は無かったのだ。
いま思えば玲蘭華の言葉を信じられなかったのかもしれない。だから余計な話はせずに腹の探り合いの様な形をとっていたのだろう。
沙更陣がそう自覚したのは暫くしてからの事だったが、ジンロはそれがおもむろに態度に出ていた。
カルサトルナスが新たな身体で再び生を受けたと聞いた時に宣言したのだ。