広いバルコニーから庭に続く階段をゆっくりと下りていく。ここにも沢山の色鮮やかな花たちが咲き誇り、その奥にはおおきな噴水があった。
この景色には見覚えがある。
かつてオフカルスに居た頃カルサもよくこの辺りでラファルと走り回ったのを覚えていた。そしてこの場所には沙更陣にとって思い入れのあるものがあることも知っている。
それはレプリカから聞かされたリュナの話の中にも出ていた場所、魔界の花が咲く花壇を植物の祠で囲った所だった。それは他でもない沙更陣が作ったものだ。
バルコニーまで出ると沙更陣が先に歩いてその祠の前までやってきた。
しかしカルサはバルコニーの最上段から動こうとはしない。
「ここを覚えてるかい?」
光の中から沙更陣が問いかけるが、まだ日陰の中にいるカルサは何も答えようとはしなかった。
「ここは僕がロワーヌの為に作った祠だ。中には魔界の花が咲いている。そう言えばリュナもここに来ていたよ。」
どれだけ言葉を投げかけてもカルサはこれ以上の反応を見せようとはしない。
声を出すことも無ければ手足を動かすこともしない、ただそこに立ち穏やかな天気に似つかわしくない厳しい表情で常に沙更陣を睨み付けていた。
「…君たちの方でも大きな被害があったみたいだね。」
何かを諦めた沙更陣はカルサの近くまで戻るとバルコニーの入り口にある長椅子のところまで歩いていった。
そして腰を掛けてカルサに目で合図を送る。
「立ち話もなんだから座ったら?」
眉を寄せるカルサにそう告げたがカルサは沙更陣の前まで来ると立ち止まり、彼を見下ろすような形でまた睨みを利かせた。
さすがにそこまで露骨な態度を出されては沙更陣も苦笑いをするしかない。
「僕を恨んでいるのかな?…前回もずっとそんな顔をしていたね。」
寂しそうな呆れたような声はカルサに眉間のシワの存在を知らせるものでもあった。
この景色には見覚えがある。
かつてオフカルスに居た頃カルサもよくこの辺りでラファルと走り回ったのを覚えていた。そしてこの場所には沙更陣にとって思い入れのあるものがあることも知っている。
それはレプリカから聞かされたリュナの話の中にも出ていた場所、魔界の花が咲く花壇を植物の祠で囲った所だった。それは他でもない沙更陣が作ったものだ。
バルコニーまで出ると沙更陣が先に歩いてその祠の前までやってきた。
しかしカルサはバルコニーの最上段から動こうとはしない。
「ここを覚えてるかい?」
光の中から沙更陣が問いかけるが、まだ日陰の中にいるカルサは何も答えようとはしなかった。
「ここは僕がロワーヌの為に作った祠だ。中には魔界の花が咲いている。そう言えばリュナもここに来ていたよ。」
どれだけ言葉を投げかけてもカルサはこれ以上の反応を見せようとはしない。
声を出すことも無ければ手足を動かすこともしない、ただそこに立ち穏やかな天気に似つかわしくない厳しい表情で常に沙更陣を睨み付けていた。
「…君たちの方でも大きな被害があったみたいだね。」
何かを諦めた沙更陣はカルサの近くまで戻るとバルコニーの入り口にある長椅子のところまで歩いていった。
そして腰を掛けてカルサに目で合図を送る。
「立ち話もなんだから座ったら?」
眉を寄せるカルサにそう告げたがカルサは沙更陣の前まで来ると立ち止まり、彼を見下ろすような形でまた睨みを利かせた。
さすがにそこまで露骨な態度を出されては沙更陣も苦笑いをするしかない。
「僕を恨んでいるのかな?…前回もずっとそんな顔をしていたね。」
寂しそうな呆れたような声はカルサに眉間のシワの存在を知らせるものでもあった。