こんな造りだったろうかと頭の中でまた疑問符が浮かぶが何せ自分の記憶に自信がなかった。

晴れた日の昼下がり、子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。

貴未は緊張の面持ちで震える息を吐いた。あと少しで教会の敷地内に入る。

足元の数歩先から煉瓦の道に変わる場所、そこが教会との境目だった。

貴未は手前で足を止め教会を見据えて強く拳を握る。

何回か深呼吸をした後に空を仰ぎ一番深い呼吸で気持ちを整えた。

覚悟を決めて行くしかない、それは今だと自身を奮い立たせる。

「よし。」

そう呟いた後に横に目をやると心配そうな表情の日向と目があった。

傍目で見てガチガチに緊張しているのだろう、日向の様子で自分自身を顧みると思わず苦笑いが出てしまう。

らしくない行動だと鼻の頭を掻き、にっこりとした笑顔で親指をたて心配ないことを主張してみせた。

思いがけない貴未の可愛らしい行動に日向は思わず笑ってしまう。

「じゃあ…行きますか!」

気合を入れて一歩踏み出すと、あとは自然と足が前に進んでいった。