椅子を引いてゆっくりと立ち上がり窓辺に向かった。

今日は天気がいい。

「ナータックの復帰は望めません。新たに側近を配置すべきかと。」

「側近を、か。」

「既に候補を見付け教育をしております。」

すぐに返事をしなかったが、カルサとしてはハワードの言うことに反対をするつもりはない。

実際に側近を付けない方が負担も不安も多かった。

しかし思い出されるのはナータックの姿、先日カルサは彼を見舞って言葉を失ったのだ。

なんという痛々しい姿だろうか。

あれだけ献身的に側を務めてくれたナータックが御劔の戦いに巻き込まれてしまった。

いや、巻き込んでしまったのだ。

カルサは自分を責めずにはいられなかった。

あれから月日は経ったというのにナータックの意識はまだ戻らない。

「いつ頃から就ける予定だ?」

「まだ未熟なところもありますが…ご要望とあらばすぐにでも。」

「そうか。」

背を向けたままハワードの言葉に頷くとカルサは伏せていた目を上げて前を見据えた。