「見届ける事が守る事になるとは思えない。邪魔をするような事があれば斬る、そのつもりでいてくれ。」

「いいわ。でも傍にいる事が救いになる事だってあると私は信じたいの。」

「好きにしろ。」

そして視線を逸らし、カルサは圭の手を取らなかった。

行き場所を失った手をゆっくりと下ろしながら圭は苦々しく微笑む。

「貴方の決意を揺るがすような事を言ってごめんなさい。」

そう言って圭は次に譲るようにテスタとは反対側の後ろへと回った。

自分を大人げないとは思わない。

やはり譲れないものが互いにある以上は折れる必要もないと判断したまでだ。

圭には圭の誰にも譲れない強い思いがあるからこそ今ここにいる。

ただ目的地や思いは違えど目指す結果が同じと言うことで行動を共にするだけだ。

今にも大きなため息が聞こえてきそうなカルサの姿に次はマチェリラが一歩を踏み出した。

その勢いは圭とは対照的で、ずんずんと前に進んでいく。

勢いあればこその行動は彼女の心境を表していた。

あまりの迫力にさすがのカルサも何事なのかと目を大きく開けてしまう。

マチェリラは口を一文字にして力の入った顔のままカルサの前で足を止めた。

まっすぐ下におろされた手は強く握りしめられている。

まるで今にも泣き出しそうな子供のようだとそう思ったときだった。

「私はっシャーレ…っ圭みたいに大人じゃないからっ…救いたいとか守りたいなんて思わない。」

掴みかかる勢いのわりにカルサの胸辺りに視線を落としてマチェリラは叫んだ。