「貴未の知り合いってどんな人？」

貴未にとっては懐かしい町並みを歩きながら、二人は目的地に向かっていた。

天気のよい昼下がり、賑やかな雰囲気が町を包む。

シードゥルサの町並みとはまた違う景色、服装や気候が違うからだろうか。

それともこの世界独特の空気なのかもしれない、そんなことを考える余裕はあるものの確実に心拍数は上がっていた。

「マチェリラ･ラウドベースって人でさ、俺と同じ年くらいの女性なんだ。」

そう答えた後、様々な記憶が呼び起こされて貴未は寂しげに笑った。

この石畳もよく三人で駆けて叱られたものだ。

あれから一体どれくらいの時間が過ぎたのだろう。

「時間の流れが違うから、今はどうか分かんね。生きていたらラッキーなのかもな。」

もしかしたら、同じ様な年代のままかもしれない。

でも年下かも年上かも、この世には既にいないかもしれない。

時間の流れが違うことは貴未もよく知っていることだったから多少の覚悟はできている、つもりだ。

かもしれないという掴みきれない希望をめがけて貴未は足を進めていた。