貴未はカルサの目をまっすぐに捉えた。

今まだあるかもしれない変なわだかまりも少しは消えてなくなるかもしれないとその目で訴える。

諦めたような呆れたような、貴未らしいその優しい発想に降伏したと応えるようにカルサは微笑んだ。

ありがたい、それは何よりの合図だと貴未は口角を上げる。

「俺の目的は永(はるか)。永をこの手に取り戻して一緒にカリオに帰る事だ。」

そう宣言すると再び貴未はカルサを目指して歩き始めた。

一歩一歩カルサと目を合わせたまま確実にその距離を縮めていく。

「カルサ、この同盟は継続だ。」

目の前に立ち右手を差し出し握手を求めた。

その言葉もこの行動も一体何を意味しているのかカルサには伝わっている。

貴未の思いを受け止める為にもその手をしっかりと握り答えた。

「ああ。」

それだけでいい。

強く確かな握手をしたあと、貴未は歩いてきた方を振り返り自信に満ちた笑みを浮かべることで次を促した。

「私が。」

まず最初にそれに応えたのは圭だ。

漆黒の髪を揺らしながらしなやかにカルサの近くまで進む、そしてカルサの近くに位置していたテスタに向けて丁寧にお辞儀をした。

「テスタ様。貴方様の思いを私にお預け下さいませ。」

誰もが圭の言葉に魅せられる。

一瞬驚いたような表情を見せたが、圭の真意に気付いたテスタは彼女の肩に手をかけて顔を近付けた。