千羅の眼差しはもちろん、そこにいる誰もがカルサを見ていた。皆それぞれの思いを抱えてカルサの言葉を待っている。

カルサの視線は再び千羅とぶつかり、その目に決意と覚悟の光が見えた。

あの時のリュナの言葉を思い出すが今はそれを伏せておこう。

「俺はヴィアルアイを倒しに彼の許へ行く。そこで太古の因縁を全て晴らし新しい未来を作る。それが古えより俺に与えられた使命だ。その使命を俺は全うする。」

強い眼差し、意志の強さは声に表れ力が伝わってきた。

改めて宣言することで身も心も引き締まっていくのが分かる。

「シードゥルサも必ず守ってみせる。リュナもレプリカとの約束どおり必ず救い出す。」

千羅は黙って小さく頷いた。

「守りたいものは三つ。シードゥルサと日向、これは俺の義務だ。そしてリュナ、これは俺の希望だ。」

突然現れた自分の名に日向は強く反応した。

確かにカルサは今日向の名を口にした、しかも守る事が義務だと。

驚きを隠せない日向はただカルサを見つめるしかなかった。

しかしカルサの視線は千羅に向けられたまま動こうとはしない。

「その為にはヴィアルアイの許へ行き太古の因縁を終わらせる。全てはそれに尽きる。」

「そうです。」

添うように千羅も言葉を挟んだ。

強い意志がそこにはある。

間違いなく二人の声は入り口付近にいる全員にも聞こえているだろう。

目の端に映る日向は不思議そうな顔をしていたがそれは仕方がない事だ。