しかしこの奇妙な感覚は何だろうか。

「何だか…ゾクゾクしますね。」

「私もですよ。きっとカルサトルナスの中の火の力と光の力が衝突しあっているんです。」

「いえ、違いますよテスタ様。共鳴しているんです。」

五大皇力の内二つの力をその身に宿しているなんてどれ程の脅威だろう。

ヴィアルアイはおそらくそれに気付いてはいないが、少なくとも玲蘭華はそれを見越していたに違いない。

何とも強かで計算高い人物だとその思考に恐怖さえ覚えた。

そしてこの先にある未来への緊張も大きく育っていく。

腕の中、テスタが態勢を整えたのを感じ取ると千羅はカルサに向かって歩きだした。

「千羅、危険です!」

「承知していますよ。」

テスタに答えるよりも独り言のように呟いて千羅はそのまま足を進める。

なんという光の強さ、次々と放出される光は風を生み、その圧力で進もうとする身体が拒まれた。

辿り着きたい。

その思いだけでただ突き進んでいく。

まるでいつかの様だとヴィアルアイと玲蘭華の戦いを思い出し千羅は苦笑いをした。

あの時も強い力のぶつかり合いに空間が引き裂かれそうになったのだ、今のカルサはあの時の彼らに相当する威力があるだろう。

そうであるならばこの力に負ける訳にはいかないのだ。

突き進める強さを持っていなければカルサの横に立って戦うことが出来ない、その信念で千羅は中心を求めた。

ゆっくりと慎重に近づき、目を閉じたまま立つカルサの腕にそっと触れる。